楽器紹介

ギター  Guitar

ギターはブルーグラスにおいて、最も重要な楽器です。ベーストーンと裏打ちのカッティングの両方を受け持ち、全体のリズムを引っ張っていきます。加えてコード(和音)を司るのもギターの仕事です。どのようなリズムに乗せてどのようなコードを弾くかによって曲の印象は変わっていきます。ときにはランやストロークによって曲に味付けすることもあります。また、ギター弾きがバンドのメインボーカルを担当することが多く、ステージ上ではセンターに立って演奏します。伴奏だけでなくソロを弾くこともあり、バンドの中で一番おいしいポジションといえるでしょう。

Tony Rice、Doc Watson、Bryan Sutton、女性ではDale Ann Bradleyなどが有名です。


マンドリン Mandolin

マンドリンというとクラシックで使う底の丸いもの(ボウルバックマンドリン)を想像する方も多いかと思いますが、ブルーグラスで使うのは底の平らなフラットバックマンドリンです。

ブルーグラスは2ビートのリズムが多く、その裏の部分を司るのがマンドリンです。 曲のノリをつくったり、コーラスに参加したり、ソロで観客を魅了したり、いろんな所に顔を出します。 バンド全体を見渡せる位置にいたり、自由度の高い楽器であることからブルーグラスに新しい風を呼び込む楽器でもあります。

ブルーグラスにおける偉人達はマンドリン弾きが多いと言えるでしょう。ブルーグラスの創始者であるBill Monrooe、ニューグラスという新たなジャンルを確立したSam Bush、最近登場した人ではChris Thileなどが挙げられます。

バンジョー Banjo

バンジョーは、ブルーグラスで使用される楽器の中で音が大きく、

最もブルーグラスらしい音を出せる楽器です。アフリカ系アメリカ

人が、アメリカにおいてアフリカのいくつかの楽器の特徴を取り入

れて生み出した撥弦楽器です。少々重い楽器ですが、その分音に

力があります。丸いボディが特徴で、5弦のものが一般的です。

手の親指、人差し指、中指に爪をつけ、3フィンガー・ロールと

ばれる独特の奏法を行います。バンジョープレイヤーはソロ演奏

を得意としており、コーラスに参加することもあります。他にも曲に

厚みやメリハリを与えるバッキングも大事な役割の一つです。

有名なバンジョープレイヤーとして、ブルーグラスバンジョーの

奏法を作り出したEarl Scruggs、その他、J.D.CROWE、

Alison Brownなどが挙げられます。

 

フィドル Fiddle

フィドルとはバイオリンの別称で、クラシックではバイオリン、フォークミュージックや民族音楽ではフィドルと名称が異なります。「バイオリンは歌う、フィドルは踊る」という言葉に象徴されるように、2つの呼ばれ方で奏法が大きく異なります。フィドルは民衆の間で気軽に弾かれてきた楽器で、独特のリズムを表現したり、素朴で荒削りした、または華やかな音色を奏でることが特徴です。また、弓の持ち方など基本姿勢がはっきり決まっておらず、演奏も装飾をいれたりアドリブをいれたりと自由度が高いです。ブルーグラスにおいて唯一の擦弦楽器であり、主にソロを担当し、歌の後ろで曲を盛り上げる役割もあります。楽器演奏のみのインストゥルメンタルにはフィドルチューンの曲が多くあります。

 

ベース Bass

打楽器のないブルーグラスにおいてはアンサンブルの低音域を支え、リズムの中心となります。主にコントラバスが使われますが、エレキベースも使用します。

決して目立つ楽器ではありませんが、他楽器をしっかりサポートし引き立たせる役を務めます。野球でいえば、キャッチャー、クレバーな縁の下の力持ち、といった楽器です。

Mark Shatz、Victor Wootenなどが有名で、楽器の特性上ジャズやR&Bなど、他のジャンルの音楽とも関わっていくことができます。

ドブロ Dobro

ドブロとはボディの中央部に円形のリゾネーターと呼ばれる共鳴板を取り付けたギターのことです。右手には爪をつけ、左手にはスチールバーをもって楽器を横に寝かせて演奏します。

もともとドブロはブルーグラスの楽器構成にはなかったのですが、Josh Gravesがブルーグラスでドブロを用いて、ブルーグラスでのドブロの基礎を作りました。その後Mike AuldridgeやJerry Douglasが新しい奏法をドブロに取り入れ、今ではブルーグラスだけでなく様々なジャンルの音楽にもドブロが用いられています。バーによる伸びのある美しい音が特徴で、ソロ、バッキングが主な活躍の場になります。